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2021.02.16

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出張規定ってなぜ必要?節税など出張者や管理者のメリットも解説

会社の業務のために出張する際には、当然ながら会社の経費で宿泊費や交通費を申請できます。とはいえ、出張時に手配するホテル代や飛行機の座席クラスを選ぶ際、「いくらくらいまでなら経費で落とせるの」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
こうした疑問に答えてくれるのが、会社ごとに決められている出張規定。
主張規定ではどんなことが決められているのか、そしてなぜ必要なのかを今日はじっくり解説します。
スタートアップしたばかりの会社で、これから出張規定を作るという方にも参考になる情報も最後にご紹介いたします。

1.そもそも出張規定とは

出張旅費規定(以下、出張規定)とは、交通費や宿泊費など出張時に発生する経費や出張者の出張手当てなどに関する規定を定めたものです。
出張規定の内容は、日々経費管理をする担当者だけでなく、出張をする人なら誰もが知っておきたい基本知識。まずは、そもそも出張規定とはなぜ必要なのか、そしてどんな内容が出張規定で定められているかを解説します。

1-1.出張規定の役割

出張規定は企業や組織が、社員が出張する際にかかる経費や交通費の処理方法や上限金額、出張手当をいくらにするかなどを定めたものです。

例えば海外に2泊3日の出張をする場合、
・予約するホテルは1泊の宿泊費がいくらまでのホテルなら良いのか
・現地までのフライトは、座席をビジネスクラスにしても良いのか、それともエコノミーなのか。

こうした細かいルールを決めているのが出張規定です。

1-2.出張規定の主な内容

出張規定で定められるのは、主に以下のような項目です。

<出張規定に定められる内容>

・出張に該当する範囲(出張とみなされる移動時間・距離)
・出張手当
・交通費に関するルール
・宿泊費に関するルール
・規定の旅費の範囲をオーバーした際の取扱い
・長期出張時の取扱
・出張報告書提出の義務の明記

例えば、「出張に該当する範囲」に関する項目なら次のように規定されます。

(例)
日帰り出張の範囲は「片道150km以上、移動時間往復4時間以上」で当日中に帰着できる場所へ出向く仕事。宿泊出張は、宿泊を伴う出張でありかつ所属長が認めたもの。

上記の出張規定の場合、東京駅から茨城県のつくば駅周辺へ行く日帰りの業務は、電車で片道約1時間半。往復で3時間となるため、出張とは認められません。

もちろん出張規定の内容は、会社によっても異なります。
宿泊費に関する出張規定を例に見てみると、1泊の宿泊費は6,000円までOKという会社もあれば、8,000円までOKという会社もあるのです。
転職をした方は、前職の会社のルールとは異なるかもしれませんから、今の会社の出張規定を確認するようにしましょう。

1-3.交通費・宿泊費・出張手当の規定例

出張する人の役職や立場によって、出張時にかかる経費の上限を変えている会社は多くあります。
また、交通費に関しても「役員クラスはグリーン車まで使用可能。一般社員は普通車まで。」のように、使える交通機関の座席クラスまで指定されるケースがほとんど。
同様に、日当も役員か一般社員かどうかによって異なります。

海外出張なら、空港に到着して宿泊先やオフィスまでの交通手段はハイヤーを使ってもいいのか、タクシーや交通機関しか認められないのかなども、出張規定で決められていることがあります。

(例)ある会社の出張旅費規定

経費区分 役員クラス 一般社員クラス
交通費 新幹線・在来線 グリーン車まで利用可能 普通車のみ
車/バス等 実費 実費
飛行機 ビジネスクラス エコノミークラス
宿泊費 15,000円まで 8,000円まで
出張手当 日帰り出張 5,000円 2,500円
宿泊出張 8,000円 5,000円

この会社の場合、社員の役職によって使える交通機関の座席クラスや、宿泊費の上限が違います。

1-4.出張規定に出張手当の役割がある理由

意外とその理由を知らない人も多いのが、出張手当が設けられている理由です。
出張時は通常のオフィス勤務と違って、Wi-Fiの通信量や移動中の食費、出張のためのツールの購入など出費がかさむことも多々あります。

こうした、食費や通信費などの雑費を細かく毎回精算処理するのは、想像するだけでも難しく、手続きも煩雑ですよね。毎回精算処理をしていては、申請者・経費担当者・決裁者それぞれの無駄な労力がかかってしまいます。そこで、雑費をひとまとめにしておこう、というのが出張手当の主な目的となります。

※出張手当について詳しくはこちらも参照
「出張手当の相場って? 今さら聞けない出張手当の基礎知識」

2.出張規定がないとどうなる?メリットや必要性

出張時の宿泊代や交通費の手配について、「一人一人が常識の範囲内でするのなら、ルール(出張規定)はなくてもいいのでは?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、会社が出張規定を作っていなかったら…。出張者にとっても、経費を処理したり決済したりする管理者にとっても、実は不便な点がいろいろあります。反対に、出張規定があることで、仕事を効率化できるなどのメリットがありますから、その辺りをまとめてみましょう。

2-1.出張する人のメリット

出張する人にとっては、出張規定はいわば出張時のマニュアルのような存在。

出張時の宿泊先や移動手段を手配する際にも、あらかじめルールが定められているので安心です。「これなら大丈夫かな?」と考え、実際に手配したら、経費に認めてもらえなくて自腹…というリスクもなくなります。

極端なケースかもしれませんが、「せっかくの出張だから、飛行機はファーストクラスを予約してしまおう」と、出張費をアテにして高い航空券代を立て替えたのに、会社から認めら得なくて結局自分で払わなければいけなくなった…といった自体も避けられます。

また、実は出張手当(日当)は経理上、給与ではなく経費扱い。
そのため、出張手当により得たお金は、所得税・住民税が非課税になるため節税にもつながります。税金だけでなく、前年度の収入をもとに算出される社会保険料も安くなります。

仮に年3分の1は出張で飛び回っているという人の場合、出張手当分が経費になることで、節税できる額も大きくなりますから、このメリットは見逃せません。

※参考記事
「海外出張の経費精算の疑問をスッキリ解決!経費処理の時短テクも紹介」

2-2.管理者のメリット

出張規定があれば、管理者の業務を効率化し、不要なコストを生じさせないで済むというメリットも見逃せません。

あらかじめ、宿泊費や交通費などの上限を決めておくことで、出張費用をコントロールできます。また、出張手当を経費計上できることは、会社の節税対策にもなります。

出張手当があれば、通信費などの複雑な経費を処理する必要も少なくなり、業務負担の軽減にもつながるのです。

3.おすすめの出張管理システム

せっかく出張規定を作っても、出張者が毎回ルールを確認した上で宿泊先の手配などをするのは手間がかかります。
通常の業務だけでも忙しいのに、ルールを確認する手間も増えるとなると…もう仕事が回らない!なんて方もいるのではないでしょうか?

また、出張規定を管理する側も、社員一人一人がきちんと出張規定に沿って出張を遂行しているかどうかを確認するのは大変!細かくて煩雑な業務が増えると、毎日仕事に追われることになってしまいますよね。

業務効率を改善し、他の有意義な仕事をする時間に充てることができれば、会社のパフォーマンスもアップするかもしれません。
そこで、取り入れると便利な出張管理システムを最後にご紹介いたします。

3-1.AI Travel

画像出典:AI Travel 公式サイト(https://aitravel.cloud/)

「AI Travel」はあらかじめ登録しておいた出張規定に沿った宿泊先や移動手段を手配できるサービス。同じサービス内で、出張経費の申請や承認作業もできるため、出張後の経費清算をする負担が大きく軽減されます。
また、経理担当者や経営者が会社の財務状況を見直したいときには、会社全体で出張にまつわる経費がどのくらいかかっているかをAI Travelのサービス画面から簡単に確認できます。リアルタイムかつスピーディに、出張経費が把握できるという点では経営者にも嬉しいところ。
このように、AI Travelは、出張者だけでなく出張費のコスト削減を目指したい経理担当者や経営者の業務もラクにしてくれるサービスです。

・AI Travel 公式サイト https://aitravel.cloud/
・主なサービス内容/出張手配、旅程・履歴の記録、出張経費の申請・承認、出張経費の一元管理と分析ツール

3-2.マイナビBTM

画像出典:マイナビBTM公式サイト (https://btm.mynavi.jp/service/

AI Travelと同様に、出張手配から出張経費の一元管理までをトータルでカバーしている「マイナビBTM」。出張手配のために、いろいろなサイトから宿泊先や移動手段を手配しなくても、このサービス内ですべて済ませられるので楽ちん。
こちらも出張経費の一元管理に加えて分析ツールが搭載されており、経営者や経理担当者にとって嬉しい、コスト削減や業務改善にも役立てられる機能が搭載されています。

・マイナビBTM公式サイト https://btm.mynavi.jp/service/
・主なサービス内容/出張手配、申請・承認機能、出張経費の一元管理と分析ツール、出張規定の登録と改善、一括請求払い

3-3.Dr.Travel

画像出典:Dr.Travel公式サイト(https://lp-travel.keihi.com/

出張手配時に、画面上だけでなくコンシェルジュを通じて手配したいという方におすすめなのが、こちらのサービス。

チャット画面から、専門オペレーターと直接やりとりができ、希望の費用感などを伝えると最適なプランを提案してもらえます。

また、出張者がどこに宿泊しているのかなどを、経営者や管理者が一覧で確認できるため、出張先でテロや震災があった際にもすぐに現地滞在先を確認できます。
有事のリスクマネジメントもしっかりしておきたいという会社におすすめです。

・Dr.Travel公式サイト https://lp-travel.keihi.com/
・主なサービス内容/出張手配(コンシェルジュ機能あり)、安全危機管理機能、出張データの一元管理、一括請求払い

まとめ:出張規定をもっと知って出張業務を効率化しよう!

今まで何気なく出張をしていたという人も、改めて自分の会社の出張規定を見直してみると、新たな発見があるかもしれません。
企業側にとっても、また出張する人にとっても、出張規定のちょっとした違いがコストや業務負担に大きく影響を及ぼすものです。だからこそ、しっかりと出張規定の存在意味を理解して、日々の業務に生かしてみましょう。経理担当や経営者の方は、出張経費の処理業務をラクにするツールも上手に活用して、日々の業務を効率よくこなしてくださいね。

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